元アフィリエイト専業の広告代理店マンが教えるASPとその特徴まとめ
これからアフィリエイトを始めようとする人が、最初に悩むのがアフィリエイト・サービス・プロバイダー、いわゆるASP選びだと思います。
これまでもASP選びに関する記事はたくさんありましたが、私なりの視点でお伝えできるのではないかと思いました。
自己紹介にも書きましたが、私はクレジットカード会社〜広告代理店〜メディア運営とアフィリエイトに関する商流を上流から下流まで携わってきましたので、私なりにASPとその特徴をまとめてみたいと思います。(自己紹介については、下記をご覧ください。)
ASPとは?
今さら説明するまでもないですが、アフィリエイトシステムを提供している企業になります。
アフィリエイトシステムとは、媒体(メディア)からの成果を計測するものです。
これまでは[広告主 - 広告代理店 - ASP - 媒体]という商流が主でしたが、最近は広告代理店がASPサービスを開発*1したり、ASPが広告代理店の機能を果たしたり、今は媒体がASPを兼ねることもあります。
ASPは必ず必要?
アフィリエイトをする際、必ずしもASPと提携する必要はありません。
直接クライアントを見つけてGA(Google Analytics)のクリック数ベースでアフィリエイトを行っても構いませんし、自身でのやりようもたくさんあります。
一方、ASPは既にたくさんのクライアント及びそれに係る案件数を抱えているので、システマチックに様々なアフィリエイトに取り組むことが可能です。
自身の媒体力に自信がある人は前者でいいと思いますが、これからブログやサイトに取り組もうと考えている人は、積極的にASPを利用したほうがいいでしょう。
ASPの媒体担当について
ASP紹介の前にASPの媒体担当制について説明したいと思います。
ほとんどのASPに媒体担当者は用意されていますが、コミュニケーションが取れるのは一部の有力媒体だけになります。
その他はサポートメールなどの対応に終始しますので、おすすめなのはASPを分散させるよりも、まずは1社に注力したほうがいいでしょう。
成果が付いてくると専属の担当者がつきますので、その担当者を握ってから各ASPとの提携をしながら、駆け引きを行っていきます。
その際、同一案件の張替えは慎重にならなければいけないので、一言担当者に声をかけるのは忘れずに行うことです。
媒体担当者がつくと出来るようになること
媒体担当者がつくと、アフィリエイトメニューの単価交渉を直に行うことができます。
基本的には件数に比例することになりますので、件数が取れる有力媒体であればあるほど、高単価な成果報酬をもらうことになります。
ASPによっては、自身の利幅(予算から15%ほどを抜いている)を削ってまで、単価を上げてくれるとことがあります。
とはいえ、その分、高い目標件数が課されるので、毎日詰められることも多々あります。
そのときは、ASPも広告代理店やクライアントに詰められていることだろうと思うので、「一緒に頑張りましょう!」と励まし合います。
アフィリエイトは人間くさい アフィリエイト自体はすごくシステマチックなものですが、媒体担当者がつくと想像以上に人間臭い環境になります。特にASP間でリンクを張替えするときは、他の案件の予算を回してもらえなくなることも……。私は競合の媒体とASP担当者が繋がって、案件を落としてもらえなかったこともあります。その時は私も知り合いがいたので、直接担当変更をしてもらうことで解決したのですが、情の世界なので下手な動きをすると痛い目を見るので気を付けましょう。 |
それでは、前置きが長くなってしまいましたが、各ASPとその特徴をまとめていきたいと思います。
大手のASP5社
まずはアフィリエイトをする人なら誰しもが知っている大手ASP5社の特徴をまとめていきます。
バリューコマース(VALUECOMMERCE)
ヤフー(Yahoo!)の関連会社であり、後述するJP21の株主でもあります。
バリューコマースの特徴としては、ブランディングに厳しい大手メーカーのアフィリエイトメニューを数多く揃えている点でしょう。
ちなみに、以前はAppleのアフィリエイトメニューを独占で取り扱っている時期もありました。(現在は終了)
どちらかというとコンサル型のASPで、無闇にアフィリエイトメニューを増やさない(数字にならないアフィリエイトは扱わない)ようにしているのか、代理店時代にもいくつかのアフィリエイト提案を断られたことがあります。
媒体側として見れば案件も選びやすく、注力しやすいという点があるのでおすすめです。
その分、媒体選定も厳し目ではありますが、アフィリエイトリンクを広告スペースで管理できたりと詳細な分析がしやすいASPです。
大手の中で、唯一アダルト案件があるのも特徴的です。
ちなみに、バリューコマースは社風がいいのか人材の流動性が低いような気がします。
担当者変更も稀ですし、変更したとしても前担当者が次回のミーティングに同席してくれたりします。媒体としては嬉しい限りですね。
なお、Skypeなどのチャットサービスでもやり取りしてくれるので、コミュニケーションもスムーズに取っていただけます。
ジャネット(JANet)
「なにこれすげーこんなのはじめて」がスローガンの株式会社アドウェイズが運営するASPです。
個人的に、最終学歴が中卒ながら最年少上場企業のCEOになった岡村さんを尊敬しています。
ジャネットは金融案件、特にキャッシング系が強いASPだと思います。
こちらもある程度の規模まで媒体を育てると担当者が付いてくれます。ジャネットは比較的遅い時間まで仕事をしているせいか、遅い時間でも返信してくれます。
バリューコマースは20時退社が徹底されているので、それと比べるとジャネットのほうがフレキシブルかもしれません。(そんなに急ぐことは滅多にないですが……)
また、媒体担当者の他にサポート担当も付いてくれるため、キャンペーン変更やバナー変更の連絡が分担されてくるので、媒体としては管理しやすかったりします。
A8.net / Moba8.net
株式会社ファンコミュニケーションズが運営するASPです。
はてなブロガーの皆さんにも、このASPを利用されている方が多いと思います。nendも有名ですよね。
媒体登録数、アフィリエイトメニュー数ともに日本一のASPだと思います。
なぜなら、Twitterアカウントでも登録できますので、誰でも登録できるASPといってもいいかもしれません。
個人的には、以下の3点よりあまりオススメできないです。。
- アフィリエイト管理画面が重い。
- アフィリエイトメニューが多すぎて、使いにくい。
- 媒体担当者はほぼいない。
ただし、A8セルフバックはおすすめです。
これからアフィリエイトを始める方なら、まずはセルフバックでお小遣い稼ぎをしてから、そこで購入した商品、もしくは申し込んだサービスのレビューアフィリエイトから始めてもいいでしょう。
リンクシェア(LINKSHARE) / トラフィックゲート(Traffic Gate)
リンクシェアは、アメリカで生まれた世界初のASPの日本法人です。
現在は楽天のグループ会社になっています。
トラフィックゲートは大手ASPの中では後発企業ですが、設立して間もなく楽天と資本提携をしたASPです。
現在はリンクシェアとトラフィックゲートは合弁し、リンクシェア・ジャパン株式会社として2つのASPを運営していることになります。
役割も下記のように明確に分けているようです。
- リンクシェア:EC中心
- トラフィックゲート:金融中心
リンクシェアは、はっきりいって最も使いにくいASPかもしれません。
管理画面が重すぎて、ページを遷移するのに平気で5秒はかかります。
ただし、リンクシェアでしか取りか使いのないアフィリエイトメニューが多いのも事実。ドミノピザなど、大手企業のアフィリエイトメニューを数多く取り扱っております。
一方で、他社ASPと比較したトラフィックゲートの強みはあまりないのかもしれません。
現在は楽天カードも広告代理店が入っており、トラフィックゲートも含めて各ASPが横並びで広告代理店からの予算を分配されていると聞きます。
確かに多少は楽天グループのアフィリエイトメニューに関しては交渉力があるのかもしれませんが、特別使わなければいけないASPとは言い難いでしょう。
アクセストレード(ACCESS TRADE)
株式会社インタースペースが運営するASPです。
主に金融案件、人材案件(医師看護師の転職サービスなど)に強みを持っています。
アクセストレードにも媒体担当者がいますが、以前の円安トレンド時に「今は円高ですしFX案件どうですか?」と言われてから、あまり担当者としての質を信用していません。
ただし、コンバーションしたキーワード(リスティングやSEO)がわかる計測ツールを提供したり、各地でセミナーを行ったりとサポート体制は他社と比べても手厚いように感じます。
また、インタースペースは独自にママスタという媒体運営も成功させており、媒体運営の手本にもなるかもしれません。
中堅ASP4社
出来るだけ中立な立場でASPを紹介しようと思いましたが、大手ASPを見てわかるように思い入れに違いがあるのでかなりなポジショントークになってしまいました(汗)
次は中堅どころのASPを4社紹介します。本来は紹介しきれないぐらいのASPが存在しているのですが、その中でも利用経験のあるASPに限って紹介したいと思います。
クロスマックス(xmax)
株式会社セプテーニ・ホールディングスのグループ会社である、株式会社セプテーニ・クロスゲートのASPです。
広告代理店の強みを活かしたサントリーのような大手クライアントのメニューも取り扱っております。青汁などの健康食品を強みにしています。
アフィリエイトリンクの末尾に任意のパラメータを振ることができるため、独自に計測ができる数少ないASPになると思います。
しかし、アフィリエイトメニューは競合の多いものも多く、ツール利用も含めて中級者以上におすすめなのかなと思います。
もしもアフィリエイト
株式会社もしもが運営するASPです。
ASPのユーザー目線(媒体者目線)が徹底されており、非常に使いやすいと感じています。
例えば、検索キーワード上で登録しているサイトのドメインを検知し(その際に検索順位もわかる)、そのキーワードに合った広告を教えてくれるメールが定期的に届きます。これが本当に助かります。
これからアフィリエイトを始める方にとっても使いやすいと思いますので、最初はもしもアフィリエイトからでも全く問題ないと思います。
わかったブログのかん吉さんが運営しているツール、カエレバ・ヨメレバもありますし、ブログ利用の個人アフィリエイターにぴったりです。
アフロ(AFRO)
チャンスラボ株式会社が運営するASPです。
オリックスカーシェアのアフィリエイトが終了した時に、独占で運用しているとのことで声をかけてもらったのが、このアフロです。
大手で取り扱いのないアフィリエイトメニューも多く、オリジナリティのあるASPと言えます。
アフィリエイトB
株式会社フォーイットが運営するASPです。
アフィリエイトBの強みはEC案件が多く、また強いことです。
強いというのは、売れやすいアフィリエイトメニューということです。そのことに関しては、以前下記にてまとめておりますので、アフィリエイト初心者の方は参考にしてください。
また、これを機会に管理画面以外を見てみると、アフィリエトBは確定報酬が翌月末払いだったんですね。
大手のASPなどは、翌々15日払いがほとんどなので、驚きました。キ
ャッシュフローを考えると、この支払い額は思っている以上に重要なので、皆さんも気をつけて見てくださいね。
クローズドASP5社
最後はクローズドなASPを紹介したいと思います。
こちらは利用経験のないものもありますが、現状把握している中でも気になるクローズドなASPを紹介します。
クローズドASP 公に媒体募集をしておらず、原則スカウトされた媒体だけが登録できるASPのこと。クローズドな分、高単価なアフィリエイトメニューや独占アフィリエイトメニューが多く存在する。 |
アイモバイル(i-mobile)
アダルト広告も回せるアドネットワークを運営する、株式会社アイモバイルのASPです。
EC系のアフィリエイトメニューを多く用意しておりますが、メニュー数自体はそれほど多くはありません。やはり、アドネットワークと同じくアダルト系も多くあり、予算の割合も大きい様子です。
アフィリエイト110番
株式会社スポプレが運営するASPです。
主に金融案件、中でもクレジットカードのアフィリエイトメニュー中心に構成されています。
また、スポプレは広告代理店としての側面もありますので、同じアフィリエイトメニューでも各ASPより予算が多めに出る場合もあります。
クライアントにより近い場所にあるASPなので、クライアント予算を握っているというのは圧倒的に強みと言えます。
ActBank
アフィリエイト媒体の雄である株式会社ジェーピーツーワン(JP21)が運営するクローズドASPです。
詳細は不明ですが、JP21自身が運営している媒体と同じく、クレジットカード・カードローン・キャッシング・看護師転職等のアフィリエイトメニューを取り扱っているものと推測します。
単なるアフィリエイトの比較媒体から、ここまで大きな企業にするというのは夢があります。バリューコマースの資本注入のタイミングも良かったのかもしれません。
レントラックス(Rentracks)
株式会社レントラックスが運営するASPです。
中古車の一括見積もりやカードローンの案件など、主に申し込み系(リード系)のアフィリエイトメニューを中心に取り扱っております。
昨年の4月にマザーズ上場したことも記憶に新しいですね。
今はわかりませんが、社内にクライアントと媒体者を呼び、商品理解のセミナーなどを開催しておりました。
アフィリエイト的には予算のあるメニューが多いので、その分競合も多く、中級〜上級者向けのASPと言えるでしょう。
アドマネ(ADMANE)
2013年にGMOグループに加わった、GMOイノベーターズ株式会社が運営するASPです。
クレジットカード案件を中心にアフィリエイトメニューを取り揃えているのですが、GMOグループのmakeshopなど、グループが展開するECサービスとどのように連携していくのかが、今後が楽しみです。
メディパートナー(Medi Partner)
株式会社オプティマイザーが運営するASPです。
詳細はわかりませんが、下記のようにJP21と同じように自社の比較サイトを運営していることをみると、クレジットカードのような金融案件を含めて、申し込み系(リード系)のアフィリエイトメニューが多そうです。
まとめ
ここまで紹介してきて、こんなことを言うのも申し訳ないのですが、アフィリエイトを始めるにあたってASP選びは全く重要ではありません。
アフィリエイトに限った話ではありませんが、これから運用改善の日々が続くでしょう。
その中で使いやすい管理画面のASP、同一アフィリエイトメニューでも予算のでやすいASP、そしてコミュニケーションが取りやすいASPの媒体担当者などを、日々の運営の中で見つけていけばいいと思います。
大事なのは現状で満足することなく、下記のように常に改善点を見つける姿勢だと思います。
- より効率化するにはこのASPを使い続けるだけでいいのか?
- より稼ぐには、もっと交渉したほうがいいのではないか?その交渉材料は他ASPにないか?
よって、私が紹介したASP紹介は聞く耳半分に、まずは運用改善の日々に足を一歩踏み出していきましょう。
*1:アフィリエイトシステムのOEM企業がありますので、予算があれば誰でも導入が可能です。