六大国際ブランドとは?違いは決済プラットフォームとしての大きさです。
前回は国際ブランドとクレジットカード会社の違いについて説明しました。
国際ブランドは決済プラットフォーム(多国間の決済を実現)であることを理解いただけたかと思います。つまり、クレジットカードに付帯する決済プラットフォームの種類によって、使える場所やサービスが異なるということです。
その国際ブランドで世界中で使われているものは大きく分けて6つあり、六大国際ブランドと呼ばれています。
本記事ではその国際ラブランドの種類と違いについて、学んでみましょう。
六大国際ブランドとは
つい最近までは五大国際ブランド(VISA・mastercard・JCB・American Express・Diners Club)と言われていましたが、昨今は中国の銀聯(UnionPay)の台頭もあり、六大国際ブランドと呼ばれるようになりました。
六大国際ブランドをあらためて羅列すると、※()内は本社所在地
- VISA(アメリカ)
- mastercard(アメリカ)
- JCB(日本)
- American Express(アメリカ)
- Diners Club(アメリカ)
- 銀聯(中国)
六大国際ブランドといっても、アメリカ(アメリカだけで4つの国際ブランド)、中国、日本の3カ国(しかも北半球の先進国)で占められており、ほぼアメリカの覇権といっても過言ではありません。
※余談ですが、このようなビジネスモデル、シェアを見るたびにユダヤを思い浮かべます。
それぞれの国際ブランドの特徴について簡潔にまとめてみたいと思います。
世界シェアNo.1のVISA
VISAは世界No.1のシェア(60%)を誇る国際ブランドです。
世界200か国以上の国と地域で利用できますので、VISAブランドは最低でも1枚は持っておくべき存在です。
日本国内ではVISAのプロパーカードは発行されておらず、三井住友カード社、三菱UFJニコス社、エポスカード社などが中心に、これまで日本のVISAブランドクレジットカードを発行してきました。
ヨーロッパで強いmastercard
続いて30%弱のシェアを占めるのが、世界2位の国際ブランドmastercardです。最近ロゴを変更(全て小文字表記)になりました。
こちらもVISAと同じくアメリカの企業ですが、VISAと異なるのは古くからヨーロッパで強化を図ってきたブランドということで、よくヨーロッパの国と地域で使いやすいと言われております。
日本では、アコム社のACマスターカードやオリコ社のクレジットカードでよく見かける国際ブランドだと思います。
近年台頭してきた銀聯(UnionPay)
昨今で一気に3番目の位置まで上り詰めてきたのが、中国の銀聯(UnionPay)ブランドです。デビットカードも含めた利用額では世界1位とも言われておりますので、世界で最も人口の多い中国のパワフルさを感じますよね。
日本では三井住友カード社が銀聯ブランドのクレジットカードを発行するなど、国内のクレジットカード会社でも少しずつ見かけるようになってきました。
最近には訪日中国人も増えたこともあって、銀聯ブランドが使えるお店も増えてきましたよね。先日、私もあるお店に取材に行ってお話しを伺ってきましたので、興味があればご覧ください。
ステータスの代名詞といえばAmerican Express
昔からステータスカードの代名詞として名を馳せてきたのがAmerican Express、通称アメックスです。カード券面に描かれたセンチュリオンが有名ですので、憧れのクレジットカードとも言われています。かの著名なウォーレン・バフェット氏が筆頭株主(ただしくは氏がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ)であることでも有名ですよね。
アメックスはステータスカードならではのサービスやサポートが充実しており、特に海外を飛び回る人にとって非常にありがたいオプションを多く用意しています。
しかし、前述のVISAやmastercardに比べて利用出来る加盟店数が少ないのがネックかもしれません。アメックスブランドが付帯されたクレジットカードは、基本的に年会費のかかるものばかりですので、セカンドカードにVISAやmastercardが付帯された年会費無料クレジットカードを持つ方も少なくないようです。
国内では、三菱UFJニコスであったり、セゾンカードが実質年会費無料のセゾンパールやセゾンブルーなど、敷居を下げたラインも用意しています。
プロパーカードの年会費は1万円以上しますから、まず利便性やアメックスのサービスを触りだけでも体感してみたい人は、これらのカードから利用してみるのも良いかもしれませんね。
日本発の国際ブランドJCB
国際ブランドのなかで唯一、日本の企業があることは嬉しいことですね。(諸説ありますが、日本で国際ブランドを作ったのはアメリカだという話もあります。)
JCBブランドはアジア圏で強いと言われておりますが、わたしの経験上、JCBブランドのクレジットカードを利用できるお店は限定されている印象です。
厳密には、日本と一部の国と地域にある日本人向けのお土産店や百貨店で利用できるという表現が一番近いかもしれません。
クレジットカードの生みの親Diners Club
最後に紹介するのは、アメックスと並ぶステータスブランドのDiners Clubです。このブランドのおかげで今のクレジットカードがあるといっても過言ではありません。
Diners Clubが生まれたきっかけは、下記の体験に基づくようです。
「創業者が食事に出かけた時、財布を忘れて支払いが出来なかった。支払い能力があるのに恥ずかしい体験をした。彼は、友人の弁護士とともに、現金を持たなくても支払いが出来る制度を考え出した」という体験が創業の動機(ルイス・マンデル著 アメリカクレジット産業の歴史の前書きより)
紆余曲折あって、日本では三井住友信託銀行傘下の三井住友トラストクラブ株式会社がダイナースクラブの事業を行っています。
国際ブランドの決済処理シェアからみるアメリカのすごさ
少し古いですが、NILSON REPORTが2013年に公表している国際ブランド別の決済処理シェアのデータをご覧ください。
引用:Market Shares of Purchase Transactions Worldwide 2013 by THE NILSON REPORT
世界中の決済処理数の60%がVISAのみで行われているということです。
(mastercard、American Express、Diners Clubも加えると、アメリカの企業だけで全世界の90%の決済処理を占めていることに!)
決済処理数が多いということは、会員数だけではなく加盟店数が多いということにもなります。イコール「利便性の高さ」です。
クレジットカード選びで国際ブランドについて悩んだときは、基本的に全ての国際ブランドを持つことに越したことはありませんが、次の優先順位で選べばよいでしょう。
- VISA
- mastercard
- JCB
- American Express or Diners Club
- 銀聯 ※中国内の決済処理数による影響が大きいため最下位に置きました
六大国際ブランドについて簡単に説明してきましたが、それぞれ異なる特色があることがなんとなくでも理解いただけましたでしょうか?
次は国際ブランドの選び方について、より具体的にまとめてみたいとと思います。